長男の嫁「おとうさん(義父)をいつも介護してきたのは私です。
友人「お疲れ様でした。おとうさん(義父)の葬儀も終わって。大変だったわね。最期まで親身に介護していたのは貴女ですものね」
長男の嫁「ありがとう。でもね、私には相続権は全くないと言われたわ。」
友人「えー。どうして。あんなに尽くしていたのに、それっておかしくない?」
(解説)
長男の嫁には、相続権はありません。遺言があれば、財産を取得することが可能ですが、法律上、相続人の範囲は、子供や両親や兄弟のような血縁者及び配偶者となっているからです(民法886条から895条・第2章相続人)。
それでは、長男の嫁は、何ももらえないのか。
実は、平成30年の民法改正(施行は令和元年7月1日)により、相続人でなくとも、親族であれば「特別寄与料」を請求できることになりました(民法1050条、725条)。
この「特別寄与料」とは、亡くなった方(被相続人)の親族が、無償で療養介護などをしたことにより財産を維持したり増加したりした時に、認められる権利です。
これまでは、相続人にのみに寄与分が認められていたのに対し、寄与行為をした相続人以外の人には何も認めなかったことが不合理だと思われたので、少なくとも親族が寄与したことがあったら、その者に一定の財産を取得させることが必要だと考えられたからです。
ですから、長男の嫁が、介護を親身にしてきた場合には、「特別寄与料」を請求することが出来ることになったのです。
このように、民法が改正された点は、この他にも、生存配偶者の居住権の保護、自筆遺言書の方式の見直し、等があります。相続に関しては、法改正により変更になった部分が多々ありますので、詳しくは専門家に相談されることをお勧めします。