この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
遺言により、相続人のうち一人が、偏って多く財産を取得。
遺言自体が無効なのではないか?と疑問に思った親族が、訴えを起こした事案です。
解決への流れ
遺言は自筆で2通、公正証書1通、日付が違ったものとして存在。
最後の遺言が作成されたと思われる日の午後、ある相続人の一人が実家を訪れたところ、同居していたはずの長男家族が勝手に引越しており、そのことに気づかない父が一人居間に残されていた状況でした。
また、その時点で被相続人であった父に遺言能力があるのか、と疑問に思ったそうです。
そこで、長男夫婦の件や遺言の作成された時期前後の事実関係を丁寧に調査検討。
遺言無効を主張したところ、裁判所はこの三つの遺言書をすべて無効であると判決しました。
そのため、遺言書を前提とせず、相続人全員で遺産分割協議がなされ解決となりました。
秋田 徹 弁護士からのコメント
公正証書遺言には、二人の証人の署名捺印があります。
これらの証人を尋問することなく、裁判所により無効と判断される事例は多くありません。
遺言書作成時に『遺言能力がない』と、推認出来る具体的事実の立証がポイントです。
また、3通すべての遺言に対して有効性を検証する粘り強い調査と立証が重要となりますので、複数の遺言がある場合や、被相続人の責任能力に疑問がある場合は、ご相談ください。